この臨場感!怖すぎてニヤけてしまう【おすすめ映画】GONE GIRL(2014)【All Time Best】
陰鬱な梅雨。暗い話題がさらに暗くなる季節です。
自然の力は凄まじい...。
今回は自身のオールタイムベストから、そんな季節に持ってこいのミステリースリラー映画「ゴーンガール」をレビュー!初見に影響しない程度に語りたいと思う。
GONE GIRL(原題)
149分,アメリカ
ベン・アフレック/ロザムンド・パイク 他
アメリカの人気推理作家ギリアン・フリンによる同名小説の実写化。
監督は「ベンジャミン・バトン」や「ソーシャル・ネットワーク」、そして今作同様ギリアン・フリンとタッグを組んだ「ドラゴン・タトゥーの女」でメガホンを取ったデヴィッド・フィンチャー!
雰囲気作りと演出がとても冴えわたってる。魅力を引き出すのがとても上手い。
臨場感溢れるミステリー性とスマート過ぎる狂気の加害者、そしてその掌で泳がされる世間と被害者。この関係性が恐怖を通り越して微笑ましすぎる!誰もがニヤリとする映画。
あらすじ
NYのとあるパーティーで運命を感じて惹かれ合ったエイミー(ロザムンド・パイク)とニック(ベン・アフレック)。ライターの2人は私生活もプロポーズも個性的だった。オンリーワンを感じる2人。幸せそうな2人。仕事もプライベートも絶頂で誰もがうらやむ幸せな家庭を築けるはずだった。
結婚5周年目を迎えたその日、ニックはいつもと変わらない日を迎えていた。ふらりと双子の妹マーゴと共同経営しているバーへ出向きマーゴと他愛のない会話をする。
しかしここから既にミステリーは始まっていたのだ。
愛車のボルボ XC90でミズーリ州の田舎町に構える我が家に帰ったニックは飼い猫が外に出ている事に気付き不審に思う。
何事もなく静まり返った喉かな田舎町。そして我が家。綺麗に整った室内。
しかしそこには不自然に荒らされた痕跡があった。
そうこの日、最愛の妻エイミーはこの世界から忽然と姿を消してしまったのだった。
臨場感あふれる登場人物
ミステリーに欠かせないのが刑事の存在。主役になるほど事件を担当する刑事の存在は大きい。この映画でこの事件を担当することになるボニー刑事とジェームズ・ギルピン巡査はとても魅力的。切れ者かどうかは別として裏で私情を挟み、表では真面目に捜査をする。謎に気付いて好奇心が湧いて、それなりに成果を上げる。まさに臨場感あふれる捜査をしてくれる。
双子の妹マーゴ、そして飼い猫の存在も大きい。親と死別しニックの心の拠り所になる唯一の肉親が彼女。捜査にも協力してくれる。頼りになって暖かくなる場所。しかし彼女との関係も危うくなる...?そして飼い猫の存在。どんなに嫌な事があっても猫にはお構いなし。何もなかったかのように見つめてくる愛らしさの塊。毛並みが茶色っていうのがまたいい!映える。そして弁護士を務めることになるタイラー・ペリー。
君たちほどイカれた連中は初めてだ
真面目に捜査に協力してくれてるんだけど何処か楽しんでるかのようにも思えてしまうのがまた魅力的。強大な敵と戦うにあたって力をつけるような展開。その顔になるのが彼。別にアクション映画じゃないけどこの展開は熱くなる(笑)そして主人公のニック。ベンアフがこういう演技をしたからこそ魅力が増したんだと思う。良くも悪くも自分にも他人にも素直。別にアゴに手を当てても当てなくても(映画を見たらこの意味が分かる)その内ボロが出る。
やるべき事がわかってからの彼の言動は見所。それでもエイミーという肉食獣に抵抗するガゼルのようなものです(笑)
そしてそしてやっぱり何と言ってもエイミーが素晴らしい。ロザムンド・パイクの演技は逸脱してます。ネタバレになるので触れませんが。
人生は何があるかわからない。この映画もまさにそれ。ジャンルを絞るのが難しくなるくらい極上の展開と演出が待っています(笑)
まだまだ映画を惹き立てる人物はたくさんいますがそれは映画を観た時の楽しみということにしてください。
逸脱した展開と演出
ギリアン・フリンとデヴィッド・フィンチャーはセンスの塊です。視聴者を虜にするのはお手の物。
そしてこの映画は起承転結がとても明快。
内容は暗めでも最後までおもしろいほど集中できる。
少しだけ演出について触れたいと思う。楽しい彼との生活を日記に書き留めていたエイミー。微笑ましい描写と共に出てくるのでてっきりライターの彼女の個性を引き出す演出だと思ってた。だけど...
エイミー失踪後、色んな意味で有名になったニックの元に迫る障害。素直に応じてしまうニック。自分の性格が災いしてか、エイミーが姿を消す以前の問題がそれはもう嫌というほど浮き彫りになっていく。記者会見。メディアにスマイルと言われたから応じると...なんてお手本みたいな情報操作!ニックにメディアは牙を剝く。エイミーはベストセラー「アメイジング・エイミー」の筆者を親に持つ資産家だったのだ。
どんどん暴かれていくニックの過ち、そして自分の知らないエイミーの一面。
何かがおかしい。
自分の知らないところで何かが起きている。エイミーが残した意味深な謎解き(結婚記念日の恒例行事だった)を振り返る。
まさか...!?
ミステリー色が最高潮に達する。
だけど刑事に先を越されてしまい・・・
いよいよ明らかになっていく真実の姿。
これまでのミステリーの謎解きをするかのような犯人サイドのスマートな展開。
それはもうスッキリするほどに。視聴者が被害者から加害者に変わる瞬間が訪れる。
ここからは加害者と被害者、両方の視点から物語を追うことに。
刑事を合わせたら3つの視点になるけど(笑)最高の瞬間までもう少し。加害者への感情移入がピークに!
だったのに...まさかの失態からどん底に落ちることに...。
そしてそれとは裏腹に真相に近づいていく被害者サイド。
被害者と加害者の立場が入れ替わるこの瞬間がもう最高!
おもしろすぎる。
ここから追いつ追われつの展開が始まる。
メディアに散々扇動されたニックたち。しかし犯人を追い詰めるのもそんなメディアだった。
二度と叶わない恋。悲しすぎてどうしようもない。
What are you thinking? How are you feeling? What have we done to each other? What will we do?
見えない凶器に怯えるベンアフ。恐怖の真髄。あまりに怖くて笑えてしまう。
個性と呼ぶにも愛と呼ぶにも彼女の感情はあまりにも鋭利だった。
これ以上ないほどにフルコースな映画。
暗い話なのに暗くない。怖いのに微笑ましくなる。
おもしろくて大好きな映画。
初回限定盤にはアメイジング・エイミーのコミックまで付いてくる!(全部英語です)
オールタイムベストです。おすすめします。
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