【ラスト考察】風の谷のナウシカ(1984)から32年...宮崎駿と庵野秀明―シン・ゴジラは「ナウシカ」の序章説
風の谷のナウシカ(原題)
116分,日本
島本須美/榊原良子/納谷悟朗/京田尚子/家弓家正/辻村真人/永井一郎 他
風の谷のナウシカの思い出
本題に入る前に少しだけ...。
小さい頃の話なんですが、祖父母の家に行くと毎回毎回トトロとナウシカは欠かさず観てました。未だに聞いた事はないけれど、親戚の誰かが好きだったんだと思う。だいぶ偏ったVHSの品揃えだったので...(笑)
特にナウシカは久石さんのあの音楽を聞くだけであの頃の匂いまで思い出します。
当時は話の内容はあんまりよくわからなかったけど、ナウシカや風の谷のみんな、そして虫たちが可哀想だということ、何より悪い人が誰なのかよくわからないということだけが頭に残ってた。
そのもの蒼き衣を纏いて金色の野に降りたつべし
ナウシカが言伝えのその人になったことが嬉しい反面、遠い存在になってしまったような感じがして心に穴が開く感じ...伝わりますか?
風の谷のナウシカ、本当に大好きだった。
宮崎駿と庵野秀明
そして今...。
全くではないけれど、ちょっと違う目線でこの作品を観ています。それは宮崎駿監督が漫画を完成させたということ、そして庵野さんの影響が大きい。
庵野さんが宮崎駿監督をクリエイターとして意識し始めたのは「未来少年コナン」の時から。
妹とチャンネルの取り合いだったそうです(笑)
そして月日は流れ、「風の谷のナウシカ」で庵野さんは新人ながらあるシーンを任されることになる。
それが「巨神兵」が「王蟲」の大群を焼き払うシーン。巨神兵の動きは実際に観て欲しい(観返して欲しい)ので敢えて載せません(笑)
宮崎駿監督が漫画版「風の谷のナウシカ」を完成させた後、庵野さんは追うようにエヴァンゲリオンをつくる。
そう、庵野さんの根底には「ナウシカ」がある。「巨神兵」がいる。
宮崎駿監督の最高傑作は漫画版「風の谷のナウシカ」だと庵野さんは言う。
インタビューでは色々と語っていますがその本当のところは「風の谷のナウシカ」の特典映像(音声)で語られています。
庵野秀明が漫画版「風の谷のナウシカ」を称賛する理由
人間なんて滅んだっていいんだ この星に生き物が残っていれば
アニメーションというフィルターを通すと宮さんはいい人になると庵野さんや鈴木(ジブリ代表取締)さんは言います。
それは制作の都合上、他の人が介入していく為仕方がない。ジブリという看板を背負っているので尚更です。
しかし一番の原因は宮崎駿監督にある。
高畑さんと違って彼はあまり周囲と意見を対立させないという。そう、いい人になるんだそうです。そして本当は悪い人なんです、と(笑)
その悪い宮崎駿が好きな庵野さん。「人間なんて滅んだっていいんだ この星に生き物が残っていれば」という言葉を聞いた時からクリエイターとして大好きになったと話してます(ナウシカ特典)。
そしてナウシカの続編をやりたい、と。
7巻がやりたい、と。
未読の方も多いと思うのでネタバレはしませんが、これが真の宮崎駿の姿だと、庵野さんは称賛しているのです。
シンゴジラのラストシーンの解釈(ネタバレあり)
庵野秀明は宮崎駿を仮想敵として作品を作ってきた。
もののけ姫にはエヴァ(劇場版)をぶつけもした。本編に、
太陽と月と地球がある限り、 どこでだって幸せになるチャンスはあるわ。 だって生きてるんですもの。
という台詞があります。これは宮崎駿監督のあの言葉を体現しているんだと思う。
本心を隠して描く宮崎駿と赤裸々に描く庵野秀明。クリエイターとしては対抗的だけど、それはこの世界なりの表現の仕方。
それでも間違いなく庵野秀明の中には宮崎駿がいる。師匠というだけあって(笑)
「シン・ゴジラ」は庵野色全開だけど、宮崎駿監督の映画の描き方に似たものを感じました。庵野さん自身がある程度「ゴジラ」というフィルターを通したことで本心を少し抑えた、いわゆる一般受けする映画になったんだ、と。
矢口の最後の台詞までは(笑)
ラストシーンのゴジラの尻尾(尻尾の先で巨神兵のような造形の複数の人型のクリーチャーが苦しむように先端に向かっている描写。先端がどうなっているのかは映されませんでした。)は間違いなく次の進化への予兆です。
それはこの映画のゴジラが一貫して進化をテーマに描かれていた点からもほぼ確実だと思います。「(GODZILLA)ガッズィーラ」それにしても口説いくらい「ゴジラは神だ」という演出に力が入ってました。
と同時に...神の名を持つゴジラが血液凝固剤で沈黙すると思いますか?(笑)
そんなの庵野さんが許しません。
追伸:そういう問題じゃない
解釈のしようは人それぞれ、賛否両論あると思いますがそれがいいんです。
その中の一つ「ナウシカに繋げた説」を考察してみたいと思います。要するにゴジラが巨神兵を生み出したということです。
巨災対のメンバーの1人、間邦夫(国立城北大学大学院生物圏科学研究科准教授)のゴジラに対する台詞に「有翼化種、大陸間飛翔もありうる」という台詞がありました。早口なので若干異なってくるかもしれませんが、要するに飛行形態になる可能性が示唆されています。
わざわざこんな思わせぶりな台詞入れてくることが憎らしい。繋がりが直接なかったとしても庵野さんの思考の先に巨神兵が感じられるんです。
また庵野さんは「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」と同時に公開された「巨神兵東京現わる」において「巨神兵」と「東京」を繋げてきた。空想の世界ではなくこの現実世界の延長線上に。
作品としてはナウシカのスピンオフ作品という位置付けみたいです。
果たしてこの短編映画は何を意味するんでしょうか?
直接的に繋がってるという描き方はしないと思います。ただ庵野さんがナウシカを手掛けることになるとすれば充分考慮する必要があるのは確かなんです。
ナウシカ序章説はそんなシンゴジも観てみたいという欲望のようなものになってます(笑)
庵野さんの映画だということを尊重するとあの人型のクリーチャーの正体はどうしても巨神兵になってしまうから。
庵野さんの生き方そのものを縛ったナウシカ。エヴァの始まりでもあり、庵野さんの原点でもあるこの「風の谷のナウシカ」。クリエイターとして一旦終止符を撃つという意味でも庵野さんはやってくれると思います。エヴァの呪縛から解き放たれれば!
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シンゴジの熱線の力の入れようはナウシカの巨神兵シーンを担当した庵野さんを思うと胸熱すぎます。
ナウシカ続編はすぐそばまで来てる。本当にそう思う。
みなさんはどう思いますか?
PS:この説はありえないという結論で終止符を打ちました。ただ尻尾の人型の生物には「有尾巨神兵」という通称が付いてるとかなんとか。
デザインや構造は巨神兵から来ていますがそもそも繋がるなんてことは制作会社等の関係上ありえません。
妄想として受け取ってください!
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